離婚に向けた別居の相談

離婚に向けた別居をお考えの方へ

離婚に向けてまずは別居したいとお考えの方は、是非十分な準備をしてから別居に踏み切っていただきたいと考えます。
すなわち、一旦別居に踏み切ると、生活の本拠が変わるため、私生活のみならず仕事にも影響が出ること、お子様がいる場合はお子様の就学にも影響があることから、復縁して再度同居することが事実上難しくなる場合があります。また、別居により相手方配偶者の情報が入りづらくなることや、生活費(婚姻費用)が確保できなくなる可能性もあります。
離婚に向けた別居をお考えの方は、別居する前に是非弁護士にご相談されることをお勧めします。

別居のメリットとは

自分の生活の本拠を変えることはとても大変なことですよね。引っ越しの手間、費用、新しい家を借りる場合にはその費用もかかります。お子様がいる場合には、やむなくお子様を連れて出る場合もあるでしょう。それでも別居することで得られるメリットがいくつかあります。

1)別居により心理的負担が軽減される

別居の最大のメリットは、同居中に受けていた心理的負担が別居により大きく軽減される点です。同居中に常に怒鳴られ人格否定をされ自尊心を失っていた方や、精神的苦痛からメンタルクリニックに通院し投薬を受けていた方などは、別居することで本来の自分を取り戻し落ち着いて考えることができるため、本来の自分を取り戻すきっかけができます。

2)別居により自由な時間が確保できる

同居中は配偶者に自分の行動が把握されやすいため、離婚に向けた準備も制約されやすいですが、別居することで、離婚に向けた準備を十分に行うことができます。また、専業主婦で仕事ができなかった方も別居により夫の世話から解放され、就労することで社会との繋がりをもち自身の収入を得ることができます。

3)別居により裁判上の離婚事由を形成できる

離婚をしたいけれど配偶者が離婚に応じてくれない場合、最終的には離婚裁判で離婚判決を勝ち取る必要があります。離婚事由は法律上決まっていますので、法律上の離婚事由がないと離婚判決を勝ち取ることはできません。
そこで、別居を一定期間継続することで、当該夫婦がもはや婚姻関係が破綻し修復不可能であり、民法770条1項5号所定の「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」に該当するとして離婚判決を勝ち取ることができるのです。
同居していても「家庭内別居」があるのではないか、というご意見もありますが、家庭内別居は外部からわかりにくいものであり、立証の面からも問題があります。また、真に破綻している夫婦であれば同じ屋根の下にいることも難しいのではないか、家庭内にとどまっているのであればまだ修復可能ではないかとの判断がされ、離婚が認められない可能性もあります。したがって、最終的な離婚事由の決定打がない場合には、別居期間を一定程度継続して離婚事由を形成する必要があるのです。

別居の際の注意点

離婚を考える際に別居が必要なことが多いですが、他方、別居を検討する際には以下のような注意点があります。

1)生活費(婚姻費用)を確保すること

別居後も日常生活は続いていきます。その時に必要なのは、なんといっても生活費(婚姻費用)です。ご自身に収入があれば良いですが、専業主婦で夫の収入から生活費をもらっていた場合、別居により夫から生活費の支払いが滞る場合があります。
もっとも、夫婦間には婚姻期間中婚姻費用分担義務がありますので、別居中といえども夫から生活費(婚姻費用)をもらう権利があります。もし別居中に生活費が支払われなくなった場合には、早めに婚姻費用分担請求調停を家庭裁判所に申し立てておきたいところです。

婚姻費用の詳細はこちらをご覧ください

なお、婚姻費用の額については、裁判所から「養育費・婚姻費用算定表」が公表されていますので、そちらもご確認ください。
平成30年度司法研究(養育費、婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について

2)生活に必要な家財を確保すること

転居先で新たに家財道具を揃えざるを得ないこともありますが、できれば一部でも家財を持っていきたいところです。但し、全ての家財を搬出することは、その後の紛争を拡大させることからもお勧めできません(法的には、明らかに固有とみられない家財は夫婦共有財産となりますので、その意味でも相手方配偶者に無断で搬出することはややリスクがあります)。もっとも、明らかに固有のもの(自分の衣類、化粧品、日用品等)は問題ありませんので搬出して良いでしょう。

3)できれば親族などの支援者がいると望ましい

別居した後は離婚に向けた準備を行いますので、離婚後の生活を見据えた親族などの支援者が近くにいるとよいでしょう。実家がある方は別居先を実家にすることも有力な選択肢の一つです。

離婚に向けた別居をする際には是非弁護士に相談を

このように、離婚に向けた別居を行う際にはいくつかの注意点があります。お客様の事情によってその他注意点は異なりますので、別居をお考えの方は、一度弁護士にご相談ください。十分な準備をすることがその後の円滑な離婚に繋がります。まずはお気軽にお問合せください。

解決事例(実績の一例)

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この記事を書いた人 弁護士 大澤美穂子

2005 年 10 月弁護士登録(第二東京弁護士会所属)
クラース東京法律事務所代表弁護士
企業法務、一般民事、離婚などの家事事件、高齢者問題(成年後見、遺言、相続)など広く取り扱い、クライアントのニーズに合った最適な解決方法を目指している。

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